【解説】ユーザー受入（UAT）テストとは？目的・流れ

ユーザー受入テストとは

受入テストとは、システム開発の最終段階のテストで、製造、各種テストを終え完成したシステムやソフトウェアが要件を満たしているかを検証するためのテストです。
実際の利用環境もしくは、それに近い環境で問題なく動作するかを確認します。

ユーザー受入テストの目的

運用時における機能の動作確認と発注者側のニーズを満たしているかを確認します。
受入テストの前段階までは、主に開発者がテストをおこないますが、受入テストでは発注者側が実際に運用した際にシステム自体に不具合等の問題がなく適切に動作するかを確認します。

ユーザー受入テストのターゲット

開発したシステムの連携先となるAPIやDB、外部サービスなどとの連携確認やデータのやりとりをテストします。エンドツーエンドでの機能性をテストすることで、システム全体の一貫性が確保できます。また、データの送受信が正しくおこなわれているか、エラー処理が正しく機能するか、など細かい点まで確認します。
その他にも、パフォーマンスの処理時間や、各データ項目のインプットとアウトプットが正しいかなども細かく検証します。

ユーザー受入テストで重要視されること

優先順位を決めてテストを実施

ユーザー受入テストでは、全ての機能の試験を実施するには膨大な時間とリソースが必要となってしまうため、確認すべき機能を絞って、重要な機能から優先的にテストをおこないます。

仕様が変更された機能をテストする

仕様変更は、もともと決められた仕様を変えるため、不具合が潜みやすくなります。
そのため、仕様変更した機能とその周辺機能を優先的に確認します。
仕様変更に合わせてその周辺機能が仕様どおり連携されているか、仕様変更内容は仕様どおりに動作しているのか等の確認をおこないます。

実際の環境・データでテストする

ユーザー受入テストでは、実際のネットワーク環境や実際のデータを使用してテストをおこないます。
開発環境でのデータでは簡易的なものになるため本番環境との差異があります。
そのため、本番環境を想定した動作確認をおこなうことにより、商用環境に移行した際に発生するバグを防げることや、実際の環境に近いシステムのパフォーマンスを評価できます。

ユーザー受入テストのフェーズ

ユーザー受入テストは、テストを含めたシステム開発全体の工程の中では最後のフェーズで、システムテストのあとにおこなわれます。
開発されたシステムの最終確認で、発注者の要求を満たしているか、実際の業務環境で問題なく使用できる状態になっているかを確認します。

ユーザー受入テストの実施者について

ユーザー受入テストは、ユーザー目線でおこなうテストであるため、本番環境で実際に使用する発注者側が実施すべきテストです。
発注者側でも実際にはビジネスオーナーや各部門の管理者、現場の担当者、業務プロセスに精通した担当者がおこなうことにより、より具体的な業務フローに沿ったテストを実施することができ、本番環境での問題も発見しやすくなります。

 受入テストの問題と課題について

ユーザー受入テストで課題となるのは、プロジェクトが遅延した場合の影響、品質の担保を前提にした合否基準の判定です。
ユーザー受入テストは最終フェーズとなるため、プロジェクトのスケジュールが遅延した場合に受入テストのスケジュールが遅延分短くなるというリスクがあります。
しかし、時間がないことを理由にテスト内容を削ってしまうと受入テストが不十分でリリース後に問題が発生するリスクが高まります。
そのため、プロジェクト全体のスケジュールを立てる際は、スケジュール遅延のリスクも念頭に置くことが重要視されます。
また、限られた時間内で最終的なシステムの合否判定をおこなわなければならないため、システムの目的や達成したい目標、方法などを明文化し、合格基準は複数設けて総合的に判断することが理想的とされます。

ユーザー受入テストの流れ

テスト計画を作成

最初に、ユーザー受入テストをおこなう目的や実施方法、スケジュールを明確にし、全体の計画を立てます。
開発側がテスト計画を作成し、発注者側の確認を得てシナリオなどを定義したテスト仕様書を作成します。

環境の構築・準備

テスト計画書と仕様書をもとに、テスト環境を準備し、テスト実施者や使用する端末、アカウントや実施場所などについても事前確認をおこないます。テストデータについては実際の運用データを模し、業務の流れを設定したシナリオを準備し、データ量も本番環境と同じ量を準備します。

テスト実施

テストの実施については、連携フローや検証結果の共有などの管理表を作成し、無駄なく効率的にスムーズな運用ができるようにします。
その上で、実際に発注者がテストケースに従ってシステムの機能の確認をおこないます。
問題を発見した場合は、問題の詳細、再現手順、問題の範囲などを具体的に開発チームに報告します。開発チームは速やかに確認し、システムの問題の対応をおこないます。

まとめ

ユーザー受入（UAT）テストについて解説いたしました。